2025.02.21
「デザイン思考→D2C」の「次」に来る波を考える
デザイン業界のバズワードは
1.デザイン思考(2000 年代後半〜)
2.D2C ブランド構築(2010 年代後半〜)
という二段ロケットで広まったように思います。
しかし 2025 年の今、どちらも急速な言葉の消費フェーズに入り、企業は 新しい物語と投資テーマ を探しています。
この記事では「次の 5 年でブーム化しそうなデザイン潮流」を 公開データ+現場インタビュー を手がかりに4つのキーワードで読み解きます。
1. Spatial Computing UX ― “画面の外”を設計する
- Apple Vision Pro の投入で「目・手・音声」だけを入力デバイスとする空間体験が一気に具体化。Apple は企業向け SDK を公開し、業務アプリの試作が加速しています。AppleAppleThe Verge
- デザイナーの焦点:
- 2D→3D への IA(情報構造)再設計
- ジェスチャー/視線トラッキングを前提にした“ゼロクリック”フロー
- 現実空間の照度・音環境に最適化する マルチモーダルアクセシビリティ
仮説:2026 年に主流ブラウザが WebXR を標準搭載すれば、Web への波及で一気にマス化する可能性。
2. Zero UI & Ambient Design ― “UIが消える”時代の設計論
- Medium や UX Planet に「Zero UI」関連記事が急増し、“触らないUI” に関心が集まる。MediumMediumMedium
- スマートスピーカー・車載 OS・IoT 家電の普及で 会話・ジェスチャー・環境センシング が主要インターフェースに。
- デザイナーの焦点:
- ボイス/ジェスチャーを“会話ツリー”として IA 化
- 誤作動・プライバシーリスクを最小化する コンテクスト境界 の定義
- UI 不在でもブランドを感じさせる サウンド/モーションロゴ の設計
3. Regenerative Design ― “サステナブルの次”はプラスを生むか
- Fast Company は「持続可能なだけでなく、環境を再生させるデザイン」への転換を提唱。Fast Company
- McKinsey ESG リポートでも “ネットゼロ→ネットプラス” を掲げ、企業が 炭素削減から自然再生 へ KPI を拡張する動きが報告。McKinsey & CompanyMcKinsey & Company
- デザイナーの焦点:
- LCA(ライフサイクルアセスメント)× UX を統合し、製造〜廃棄の循環ループを可視化
- マテリアル選定とサプライチェーンデータを ブランドストーリー に接続
- “使うほど環境が良くなる” プロダクト・サービスモデル(例:植林クレジット連動)を設計
4. AI‑Orchestrated Design Systems ― “Prompt がプロダクトを決める”時代
- McKinsey は 生成AIによる業務自動化が 10 年前倒し になると予測し、クリエイティブ領域への影響を強調。McKinsey & Company
- Figma AI や Adobe Firefly で プロトタイプ生成→デザインシステム登録→コーディング までを一気通貫するフローが現実化。
- デザイナーの焦点:
- “Prompt Architect” として ビジュアル・トーンを規定する宣言ファイル を管理
- AI が量産するコンポーネントを ブランドトークンで自動検証 する CI パイプライン
- 倫理・バイアスチェックを デザインレビューの標準項目 に統合
まとめ ― “脱・ツールバズ”で価値を生む3つの指標
指標 | 何を測るか | Why Now? |
---|---|---|
Context ROI | 生成AI・空間UIで“1操作=何秒短縮”か | 人‑AI 協業で体験コストが可視化可能に |
Regenerative Index | 使うほど環境・地域にプラスを生む度合い | ESG 投資指標が“プラス貢献”を評価軸に |
Frictionless Brandness | UI が無い状態でも“らしさ”を想起させる率 | 零インターフェース時代の差別化指標 |
結論:バズワード消費が早まる今、“次のブーム” は テクノロジー・環境・体験価値 を横断して「文脈を設計する力」を持つプレイヤーが握ります。
企業もデザイナーも、「何を作るか」より「どう存在感を示すか」──この問いに向き合う準備を始めましょう。